喰うか喰われるか 私の山口組体験

喰うか喰われるか 私の山口組体験
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タイトルほどは劇的な本ではなかった。どちらかと言うと「俺とヤクザと時々、細木数子」という感じだった。50年に渡りヤクザを追いかけてきたノンフィクション作家が自分の人生とともに当時のヤクザとのやりとりも振り返る内容。

ご本人や息子さんまでヤクザの襲撃に遭い怪我をなさっていて、当時はきっと非常に緊張感のある生活を送ってらっしゃったのだと思うのだが、もうだいぶ前に過ぎ去った出来事という雰囲気でリアルタイムな緊張感はない。いやでも死ななくて良かったですね。

 

著者の出版業界での立身の様子や、当時の同僚や先達たちのご紹介。果てには特に脈絡なくご自分の婚外恋愛について語り始められるあたり、これ何の本なの?!とちょっと引く。

 

山口組の構成員についてもつらつらと思いつくままに名前が上がるのでどなたが何の役職なんだっけ?これどんなタイミング?とあまりリズムに乗り切れないまま読了。

 

印象に残ったのは「書き手にとって、書かれた者からの抗議はある意味、取材網を広げるチャンスである。」というところ。当たり屋みたいな商売だなと思いながらも、その世界の本が出ればこうやって時々読んでしまうのだからやはり根強く人気の世界なのだろう。

 

「俺は誰にも媚びず阿らず自分の書きたい物を書く!アイツら(ヤクザ)の書いて欲しいものなんて決して書いてやらないぜ!!」ということを書く割合が取材内容よりも多くないですか?と感じるのは、立場を明確にして内容に対する信頼性を確保したいということなのか。

 

ライター人生の総決算という感じの本なので、今までの著者の本を読んできた人たちには良いのかもしれない。

 

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